0 プロローグ

ー嫌だ

目の前で行われるその行為から、まだ幼かった俺は目を逸らす事が出来なかった。

ーやめてくれ

その光景が、声が、触られた感触が。

心にも身体にも染み付いて、記憶から消えることはない。

助けて、誰かー

 

 

悪夢のようで、それでいて変えようの無い事実。

 

触れたいのに、触れられない。

触れて欲しいのに、受け入れられない。

それが当然で、仕方の無いことだと諦めていた。

 

でも…心の中ではもう1人の自分が叫ぶ。

 

このままじゃ嫌だ。

何で自分だけ?

当然なんかじゃない、仕方無いなんて思いたくない。

 

ねぇ、どうしたらいい?

 

 

【伸ばした手】

 

 

この手を掴んでくれる人なんて、誰も居ないと思っていた。

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